STANDARDS
スタンダード


 スタンダード仕立ては、私のもっとも好きな仕立て方です。良い形に仕上げるのには手間と時間がかかりますが非常に素晴らしいものです。
 スタンダード仕立てのフクシアを庭に直接植えた場合、高低差のある演出が出来ます。また、夏越しに対しても根本を植物で覆うことにより良好な生育を示してくれます。そしてフクシアの魅力が特に発揮されるように思われます。2年、3年と年を重ねるにつれて見事なスタンダードを愉しむことができるようになります。


スタンダード仕立てのサイズによる分類

スタンダード仕立てのサイズによる分類  
Full 75-105 cm 30-42"
Half 45-75 cm 18-30"
Quarter 25-45 cm 10-18"
Mini 15-25 cm 6-10"
サイズは主幹のコンポストから最初の枝分かれまでの距離

<Full Standard>

 根元がホスタで覆われているので解りづらいですが、主幹の長さが約80cmのFull Standardで、主幹の太さは単一乾電池ほどになっています
 1999年に挿し木をしてStandardに仕立てたもので、2000年から毎年地植えにしています(秋には堀上げます)。地植えの場合は位置を動かせないので耐暑性のある品種を選びます。2006年6月の状態です。


品種名: Multa

<Half Standard>

 主幹の長さが約60cmのHalf Standardです。
 2000年秋に約20cmほどの高さの苗を購入してスタンダード仕立てにしたてたのもで、2001年7月の状態です。


品種名: Hidecort Beauty

<Quater Standard>

 主幹の長さが約50cmの Quater Standardです。
 2001年春に挿し木した苗を仕立ててスタンダード仕立てにしたてたのもで、2004年6月の状態です。この品種は比較的立ち性で頭の部分はかなり大きくなりすが、枝が伸びるにつれていい形にまとまっていきます。


品種名: Checkerboard

<Mini Standard>

 主幹の長さが約25cmのMini Standardです。
 Mini Standardを作るには、節間が詰まっていてコンパクトにまとまりやすい品種を選ぶことが必要です。
 2001年秋に約20cmほどの高さの苗を購入してブッシュ仕立てとして育てたのですがその後下枝を払ってスタンダード仕立てにした株で、2004年6月(3年目)の状態です。


品種名:Tom Thumb


スタンダード仕立ての作り方

1.

品種の選定
・ブッシュタイプの成長をする物であれば、たいていスタンダードに仕立てられます。
・成長があまりにuprightの品種は、箒状になってしまうので避けた方がいいでしょう。

2.

挿し木をして苗を準備します。出来れば葉が3方向に出ているもの(品種によって3方向にでるものがある)を選びます。

3. 挿し木で育てたものの中から伸長が特に良好なものを選抜します。
4.

成長に伴って不安定になってくるので、主幹(Stem)にそってサポート(支え)を挿し、主幹をまっすぐにのばしていきます。伸長するに従って主幹をサポートに緩く結紮します。

5.

成長に伴いわき芽が出てくるので、あまり大きくならないうちにわき芽をつみ取ります。このとき葉を取らないように注意。残した葉が、良い成長のために必要です。つみ取ったわき芽を挿し木に使ってもいいでしょう。

6.

目的の高さに近づいたら、少なくとも3節のわき芽を残すようにしておきます。(このわき芽をピンチしてヘッドを形作ります。)

7.

目的の高さになったら、先端(頂芽)をつみ取って上への成長を止めます。わき芽がグングン成長し始めます。

8.

通常2節伸びたところで、ピンチします。このことによって枝数が倍々と増えていきます。節間が長い品種の場合や出来るだけコンパクトに仕上げたいときには1節伸びたところでピンチします。これを少なくとも3−4回繰り返します。

9. 主幹が木質化してヘッド部分の成長が良好となった後、主幹についていた葉を全て摘み取ります。
10

あとは、ピンチをやめて伸びるに任せておくと、8-10週間(品種により異なる)で開花し始めます。主幹からわき芽が出てくることがありますが、これは全てつみ取ります。


スタンダード仕立て管理上での注意点・Tips

 スタンダード仕立てを作るのはそんなに難しい事ではありませんが管理上の注意点としては、主幹の機械的な弱さという点です。フクシアの幹は比較的軟かいので、主幹がかなりの太さになったとしても支えの棒が必要です。
 また、ポットに植えた場合には成長に伴って頭でっかちになり、バランスが悪くなりますので風などで倒れ易いという問題です。


主幹(Main Stem)のサポート

 スタンダードが小さいうち(1年目など)は1本のサポートでも十分ですが、2年目以降はヘッド部分が大きく茂るようになるので、サポートが3本あった方が安定します。
 サポートには、園芸用支柱(被服鋼管)や竹などのまっすぐである程度強度があるものを使っています。太いサポート1本よりも3本で主幹を3方向から挟み込むように支える方がしっかりと安定します。


ポット植のスタンダードを安定させる

 頭でっかちの鉢植えスタンダードは風が吹くとすぐに倒れてしまいます。倒れないようにするためには大きめの腰高のテラコッタポット(ローズポットなどが重量があって、深いためサポートを固定しやすい)などをつかうのがいいと思いますが、仕立て途中の苗などはなかなかそうはうまくいきません。
 以前はポットの縁にの上に石や煉瓦を載せて重量をかけて倒れないようにしていましたが、これもなかなかうまくいきません。
 そこで私はL字金具(棚板を支えるための金具)とチェーンを用いてスタンダードを支えています。これで、風が吹いても倒れるようなことはなくなりました。


主幹から出てくるわき芽の処理

 主幹から出てくるわき芽は全てつみ取ります。残しておくとヘッド部分の成長に使われるはずの養分がとられてしまいます。挿し木に使ってもいいですが、あまり大きくならないうちにつみ取ってしまいます。


Suckerの処理

 スタンダードを育てていると、根本の地中から芽が出てきたりすることがあります。出てきた芽をそのままにしておくと、そちらに養分をとられてしまうので全て付け根から切り取りますが、切り取ったSuckerには希に根が付いていることがあります。そのような場合は水揚げしたあとそのまま用土に植え込みます。
 根が付いていない場合も通常の手順で挿し木を行う事ができます。


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